原油よりカナダドル投資をオススメする理由

以前、掲載した原油ETFの比較の記事が、意外と人気で多くの方に閲覧頂いています。
30ドルを割れたのは一瞬でしたが、現在も原油価格は30ドル後半~40ドル台前半と歴史的な安値となっていますので、原油ETF投資が気になられている方も多いようです。

さて、そんな中で改めて書いておきたい事ですが
原油ETFの中長期投資はオススメしません。

原油ETFは長期的に見ると、ETFの価値が目減りするからです。

半年後に原油価格が上昇したとしても、目減りした分を取り戻すだけとなる可能性さえあります。

原油に中長期投資がダメなら何に投資すれば良いのか?

と思う方に、お伝えしたい投資があります。

それは、カナダドル投資です。

具体的に書くと、
FXでUSD/CADのショートポジション保有(ドル売り・カナダドル買い)戦略です。
なぜ、ドル売り・カナダドル買いのカナダドル投資が良いのか?
これからご紹介していきます。

FXは高レバレッジで損失が大きくなる怖いイメージがあるかもしれませんが、それは賭け方次第です。低レバレッジであれば外貨預金程度にリスクを下げることも可能です。

当記事では、短期的に大儲けするハイリスク・ハイリターンを奨めるものではなく、中長期的視点で、原油ETFよりも効率性の高い投資戦略としてカナダドル投資を載せております。

カナダドルは原油価格と連動する

カナダドルは原油価格との相関性が比較的高い通貨です。
チャートを並べると、こんな感じになります。

CAD/USD 月足チャート

※注意 主要なFX会社で売買できるのはUSD/CADです。USD/CADと原油は逆相関です。上記のチャートは、USD/CADを引っくり返したCAD/USDです。

WTI原油先物価格 月足チャート

同じ金融商品ではないので違いがあるのは当然ですが、かなり相関性が高いのではないでしょうか?
トレンド方向は同じだと分かりますね。

円高・円安リスクに強い

原油ETFはすべて円換算なので、円高が進むと価値が下がります。
「じゃあ、逆に円安になれば、ETFの価値が上がるから良いのでは?」

と思う方も居るでしょう。
確かにその通りですが、日本株も円高が進むと株安となります。
だから、他にも株を所有している場合、円高リスクを2重で抱えることになります。

対して、ドル売り・カナダドル買いは、アメリカドルでカナダドルを買う戦略です。
(日本円しか保有していないのに、このような戦略を取れるのがFXの強み)

日本円を売買していないため、円高・円安リスクに強く、日本株保有のリスクヘッジとなります。

留意事項
一応誤解が無いよう書いておくと、円高・円安による損益への影響はあります。
利益確定・損失確定の際に、損益を日本円に両替するからです。
ただ、円高による悪影響は、原油ETF投資よりは遥かにマシです。

資産が目減りしない、スワップポイントが付く

原油ETF投資の最大の欠点は、長期保有すると先物のロールオーバーコストと信託報酬により資産価値が下がることでした。

原油ETFを1年間保有した場合、資産価値はどの程度下がるのか?

結論から言うと、年間で資産価値が約10%強も下がります。

先物のロールオーバーコストはだいたい、0.5~1.0%/月
原油ETF(1699の場合)信託報酬は、0.53%/年

100万投資した場合、1年後には10万円の損をします。
原油の中長期投資が損しやすい最大の要因ですね。

ドル売り・カナダドル買いを1年間保有すると

原油と違い、カナダドルを長期で持っても資産価値の目減りはありません。
カナダドル投資(ドル売り・カナダドル買い)はスワップ金利が貰えます。

FX取り扱い業者によりますが、1万ドルあたり1日1円が貰えます。

10万円の損失となるか、365円の利益となるか。
資産が目減りする原油ETFよりも圧倒的に好条件ではないでしょうか。

利益・損失のシミュレーション

では、一例としてカナダドル投資(ドル売り・カナダドル買い)の損失と利益をシミュレーションしてみます。
もちろん相場に絶対はありません。その点をご留意のうえご覧ください。

カナダドルの過去の高値、安値

最大損失と利益を考えるにあたり、過去の高値、安値は参考になります。
2000年以降の時系列データを調べてみました。

  • 過去の高値
    2016年1月:1.4691
    2002年1月:1.6196

  • 過去の安値
    2012年9月:0.9630
    2007年11月:0.9056

x万ドルをカナダドル投資した場合の損益

FXは取り扱い業者によりますが、最低売買単位は1000ドルまたは1万ドルです。
先程の高値、安値をもとにx万ドルを投資した場合にどの程度の利益と損失になるか計算してみます。

なお、計算を簡略化するために、購入時レートを1.32、カナダドル・日本円レートを80円、過去の高値、安値は小数第3位を四捨五入します。

  • 1000ドルを投資した場合
    1.32 → 1.47:-1.2万円
    1.32 → 1.62:-2.4万円

    1.32 → 0.96:+2.9万円
    1.32 → 0.91:+3.3万円

  • 1万ドルを投資した場合
    1.32 → 1.47:-12万円
    1.32 → 1.62:-24万円

    1.32 → 0.96:+28.8万円
    1.32 → 0.91:+32.8万円

  • 5万ドルを投資した場合
    1.32 → 1.47:-60万円
    1.32 → 1.62:-120万円

    1.32 → 0.96:+144万円
    1.32 → 0.91:+164万円

  • 10万ドルを投資した場合
    1.32 → 1.47:-120万円
    1.32 → 1.62:-240万円

    1.32 → 0.96:+288万円
    1.32 → 0.91:+328万円

1万ドル投資するには、投資資金いくら必要?

FXはレバレッジを効かせられるため、少ない投資資金でも数万ドルを簡単に保有できます。ですが、中長期投資ではそのようなハイリスク・ハイリターン投資は不向きです。想定される損失から投資資金を計算してみます。

調べてみると、2002年1月の歴史的高値(1.6196)はそうそう訪れないと考えられますが、安全な投資戦略を考える当記事では、歴史的高値(1.6196)を考慮して計算していきましょう。

歴史的高値(1.6196)の際の損失は、1万ドルのカナダドル投資で24万円です。

24万円を投資資金の3割以内に抑えるためには、

24 ÷ 0.3 = 80

80万円以上の投資資金があれば良いことが分かります。

1万ドル当たり投資資金80万円
レバレッジ1倍なので、外貨預金と同等のローリスク投資ですね。

えっ、80万円で1万ドル投資は資金効率が悪い?

それなら、2016年1月の高値1.4691の際の損失を2割に抑えるようにしてみましょう。

12 ÷ 0.2 = 60

1万ドル当たり投資資金60万円
レバレッジ1.3倍なので、外貨預金よりも資金効率は良く、まずまずのローリスク投資でしょうか。

この投資戦略をもとに、投資資金120万で2万ドルをカナダドル投資したとすると、うまく行けば数年後には65万円の利益になる可能性があります。

ドル売り・カナダドル買いができるFX取り扱い業者

カナダドル投資(ドル売り・カナダドル買い)にあたり、FX取り扱い業者の選定ポイントをまとめてみました。

  • スワップポイントが多い
    FX取り扱い業者によりスワップポイントは異なります。1日1円貰えるところもあれば、1日で-5円の業者さえあります。
    かなりの差になるので必ず確認しましょう。

  • 投資単位が1000ドル単位
    投資単位が1万ドル単位の業者だと、80万円を用意しなければできません。
    1000ドル単位であれば8万円からできますし、自分の投資資金に応じて細かくポジションを調整できます。

  • 信託保全がある
    最近では、信託保全は当たり前ですが、信託保全が無いFX取り扱い業者が倒産すると顧客の資産が返ってきません。
    信託保全があり、知名度のある業者は安心感があります。

【ドル売り・カナダドル買いができるFX取り扱い業者一覧】

FX会社 最低取引単位 スワップ金利 信託保全
みんなのFX 1000 +2円
外為ジャパン 1000 +1円
DMM FX 1万 +1円
アイネット証券 1万 0円
外為オンライン 1000 0円
ヒロセ通商 1万 -6.9円

最低売買単位1000通貨で、スワップ金利も多いのは、みんなのFX、続いてDMM.com系の外為ジャパンですね。

ヒロセ通商なんてドル売り・カナダドル買いをすると、毎日7円も取られます。
業者が違うだけで、こんなにも差になるんですね…

ちなみに、私は外為ジャパンを利用しています。
みんなのFXのスワップ金利は多いですが、外為ジャパンの方がスマホアプリの動きが快適なんですよね。

外為ジャパンは期間限定の1万円キャッシュバック・キャンペーンをやっていることがあるので、口座開設の際に確認するようにした方が良いですね。

さいごに

原油投資よりも、カナダドル投資をお勧め致しました。

繰り返しになりますが、原油は目減りする負担が大きいです。
原油に倒産は無いので紙切れにはなりませんが、年間マイナス10万円は厳しいですね。

原油投資をしたい!という方を止めるつもりはありませんが、中長期で勝ちにくい投資、勝ちやすい投資があることを頭に入れておくと良いでしょう。

>> 外為ジャパン公式サイトを見てみる。


4件のコメント

  • ふむ

    本記事中に「USD/CAD 月足チャート」として表示されているチャートは、
    CAD/USDの月足(USD/CAD の逆数)チャートではありませんか?
    CAD/USDと原油価格に正の相関が見られるから、
    原油上昇の局面ではUSD/CADをショート、との理解でよろしいでしょうか?

    • こーあい

      コメントありがとうございます!
      ご指摘の通り、CAD/USDの月足(USD/CAD の逆数)チャートですね。大変失礼致しました。

      > 原油上昇の局面ではUSD/CADをショート
      そうですね。ドル売りカナダドル買いは、USD/CADならショートです。

      記事中で書こうと思ってたのですが、いつの間にか失念してました。誤解されないよう後で訂正しておきます。ありがとうございました!

  • ふむ

    了解です。

    貴重な情報をありがとうございました!

    • こーあい

      貴重なコメントありがとうございます(^-^)
      また気が向いたらコメントください!

      ではでは、失礼致しました。

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