システムトレードは勝てない【半年間検証した結果】

私が株を始めて3年目の頃、システムトレードを試みた時期があります。
自分に投資センスが無いのなら、システムで株式売買をすれば良いだろうという考えです。

ですが、結論から先に書くと、システムトレードは失敗に終わりました。
システム作成と検証に半年以上をかけましたが、システムトレードで勝てる方法は見つかりませんでした。

(システムトレードは失敗ですが、その経験が裁量トレードに生きてるので、巡り巡って無駄ではなかったのですが。)

自分に投資センスが無く、システムトレードをやりたいと考えているシステムトレード初心者の方は
私のように半年以上を無駄にすることは避けた方が良いでしょう。

今回は、私のシステムトレードの失敗談について書いていきます。

私のシステムトレードの方針

自分で1からシステムを開発する

私がシステムトレードを試みたのは2010年頃です。
FXのシステムトレードが少しずつ流行りはじめて、MT4が使える証券会社の人気が出始めていた頃だったと思います。

MT4の初心者向けサイトは出てきていましたが、まだまだ敷居が高い印象でした。
ストラテジー(売買プログラム)なるものも登場し始めていたので、投資初心者には、ストラテジーの方が簡単に手が出せました。

私もMT4は視野に入れてましたが、MT4で株を直接売買できる証券会社はなく、
誰が作ったか分からない売買ルールでできたストラテジーも信用できないと思ってました。

そこで、検証、売買シグナル発生までできるプログラムを自分で1から作成することにしました。

売買シグナルは日単位、検証データは過去4年分

当初、5分足チャートを解析して、株価の値動きやテクニカル指標から売買シグナルを出すシステムを考えました。
テクニカル分析だけのシステムには、ファンダメンタルをほぼ無視できる短期売買の方が向いてると考えたからです。

しかし、よく考えれば、会社勤めをしている身なので、5分単位に売買シグナルが発生されてもシステム通りに売買できませんよね。
そこで、5分単位で売買シグナルを出すシステムはすぐに断念。

会社員でもできる株式投資と、銘柄の日足時系列データが無料で手に入ることから
日単位で売買シグナルを発生させるシステムを開発することにしました。

銘柄の日足時系列データは、すべての上場銘柄と主要通貨4年分を使って検証することにしました。
売買ルール作成に2年、バックテストに2年使いました。

試してみた、テクニカル指標と損切り・利益確定幅

システムの開発には3ヶ月かかりました。会社勤めをしてるので土日と平日夜にJavaで開発しました。
適当なシステムでは株で勝てないだろうと思い、パラメータを細かく設定できるようにしました。

システムで扱えるテクニカル指標

設定・変更できるテクニカル指標は、次の通りです。
他にもマイナーなテクニカル指標を多く扱えるようにしていたはずです。

  • ローソク足の形
  • 移動平均線とローソク足のクロス
  • 短期移動平均線、長期移動平均線のクロス
  • EMA、WMAなどの加重移動平均線のクロス
  • 移動平均線との乖離率
  • RSI 30以下、70以上
  • ボリンジャーバンドのバンド幅
  • 株価とボリンジャーバンドの1σ、2σ、3σとのクロス
  • ストキャスティクスの%K、%D、%SDのクロス
  • MACDのクロス

もちろん、すべてのテクニカル指標は有効/無効の切替、期間変更、閾値変更をできるようにしました。
例えば、RSIは基本14日で30以下だと売られすぎと判定するところ、ダマしを減らすために、19日の20以下にもできます。

損切りと利益確定のルール

当初は、損切りと利益確定の幅を、損切り2%、利益確定4%のようにパーセント指定にしました。
そのうちパーセント指定は単純過ぎるし、パーセント指定の根拠が弱いので、上記のテクニカル指標を損切り、利益確定の条件に加えることにしました。

勝てる売買ルールを探す

開発したシステムを使って、長期に渡って勝てる売買ルールを探すことにしました。
ですが、工夫して作った売買ルールはなかなか稼げませんでした。

移動平均線クロスの売買ルール

例えば、移動平均線のゴールデンクロスで買い、デッドクロスで売りという条件で作ってみても、
移動平均線のクロスは発生が遅いので、株価が既に上昇しきっている場合や、レンジ相場でのダマしでやられるケースが多かったです。

そのダマしを防ぐために、別のテクニカル指標を入れてみる。
すると、売買シグナルの数は減るものの、安定した勝率になる。
しかし、別の銘柄で検証すると、別の箇所でうまくいかない。

この繰り返しです…

RSI 30を下回ったら買い

RSIを使った逆張りシステムも作りました。
RSIが30以下になったら買い、というシステムです。

これはある程度勝てたのですが、大きなトレンドにおいて大損になる問題がありました。
大暴落のときは、買いシグナルが出っ放しになるんですよね。

例えば、リーマンショック級の暴落では、反発期待をして買い続けて大赤字になります。

暴落からの反発タイミングは誰にも分からないんですよね。
落ちるナイフを掴むパターンです。

勝率70% 期待値120%の売買ルールを見つけるまで

パラメータの微調整機能を盛り込む

私の思いつきでテクニカル指標の有効/無効の切替、パラメータの調整をするから
勝てる売買ルールが見つからないんだと考えました。

だから、パラメータを微調整して優れた売買ルールを探す機能をシステムに盛り込みました。

具体的に説明すると、例えば
「RSI 30以下かつ移動平均線とローソク足との乖離率が6%もあったときに買い」とするシステムがあったときに、

より良い売買ルールを見つけるために、RSIは28、26、乖離率は5%、5.5%、6.5%のどれが良いのか
システムで閾値をランダムに変更して検証するものです。

パラメータ微調整機能について
少し情報科学の専門的なことを書くと、私が作成したパラメータ微調整機能は、シンプルな遺伝的アルゴリズム(GA:Genetic Algorithm)です。

遺伝的アルゴリズムがどのような仕組みかというと。

私が入力した売買ルールを親、その親から少し変更したパラメータを子供とします。
子供達の売買ルールで検証します。
子供の中で、成績上位3つを親として、また子供を作成…
再度、子供達の売買ルールで検証…

これで50世代目ぐらいの頃には、優秀な売買ルールが誕生しているだろうという考えです。

ついに見つける!勝率70% 期待値120%の売買ルール

パラメータ微調整機能のおかげで検証は飛躍的に速度が上がりました。
こうして、私はついに勝率70% 期待値120%の売買ルールを見つけます。

その売買ルールとは、
「移動平均線でゴールデンクロスになったときに売る」

え?「ゴールデンクロスになったときに売る」って何かの間違いでは?

と思った方も居るでしょう。
ですが、システムが実際に出したオススメの売買ルールです。

なぜ、このような売買ルールが誕生したかというと、検証期間(2年間)において
常に下降トレンドの銘柄や通貨があるわけです。

下降トレンドなら売れば売るだけ稼げます。
だから、移動平均線がゴールデンクロスでも何をしても売りが良いと判断してるわけです。

当然、4年前から2年前までの検証データを利用した、バックテストは悲惨な成績で、
すぐに没になりました。

もちろん、その後もいくつかの売買ルールを見つけましたが、期待値が高く、実践したい
売買ルールはできませんでした。

勝率70% 期待値120%の売買ルールは、過去の検証データにオーバーフィッテング(過剰最適)しているだけだったんですよね。
銘柄、トレンドなどの何らかの環境が変わればすぐに優位性は失われてしまいました。

半年間かけて得たこと

半永久的に使える売買ルールかは分からない

勝率の高いシステムはあっても、その優位性が未来も有効なのかは分かりません。
常にオーバーフィッテングを疑わなくてはいけませんし。

売買ルールを複雑にするほど、環境変化に弱い

売買ルールを複雑にするほど、検証結果の勝率は上がります。
ですが、それって過去の環境にマッチしているだけなんですよね。

シンプルな売買ルールの方が勝率は低いですが、安定性は高いです。
だから、私の場合、裁量トレードもシンプルなルールです。

自分だけの売買タイミングでは株価が上がらない

移動平均線やRSIの日数を変更して、銘柄に合う日数を探しましたが
それも各銘柄に対するオーバーフィッテングになる要因ではと考えるようになりました。

もちろんシステムトレードを行う人で、このやり方で稼ぐ人も居るでしょう。

ただ、私にはこのやり方がしっくり来ませんでした。
また、自分だけが発見した日数の移動平均線がクロスしても、誰も見てない指標だから反応薄いので意味が無いと感じて、
みんなが見ている日数、基本となる指標だけで取り組むようになりました。

でも、1つだけ優位性のある売買ルールはあった

「期待値が高いと思える売買ルールは無かった」と書きましたが、
一応少しだけ優位性がある売買ルールは見つかりましたので載せておきます。

それは、暴落したときの反発で使える売買ルールで
移動平均線に対して、ローソク足が大きく下に乖離している場合の買いですね。

と言っても銘柄毎に暴落の仕方は違うから乖離率も定まらないし、
それだけのためにシステムトレードを利用するぐらいなら、自分の目で買いタイミングを図った方が良いという結論です。

システムトレードで売買してる人に話を聞いてみた

その後、何人かのシステムトレード経験者に話を聞きました。

その結果、分かったことは、
システムトレードで勝てる人は自分の裁量を入れてるんですよね。

ストラテジーをいくつか組み合わせて、トレンドなどの環境が変わったらストラテジーを入れ替えるそうです。
これで年間100万を稼ぐそうです。

多分、この方はシステムトレードでなく、裁量トレードでも勝てるのではないでしょうか。

さいごに 現在運用している自動売買

私が成功パターンを知らないのでなんとも言えませんが、システムトレードが楽に稼げるものではないことは伝わったでしょうか?

私が株で勝てるようになったのは、システムトレードの検証を通じて、テクニカル指標の長所と短所、限界が分かったこともあります。

株で稼ぐには、経験を積み、知識を得て、自分の投資センスを磨く方が遠いように見えて近道です。

【2017/6追記】
デイトレ、スイングトレードで利益を出せるようになりましたが
裁量トレードのリスク分散の意味でも、システムトレードは気になっていました。

最近になり2種類のシステムトレード(自動売買)を実践してみました。

excel(岡三RSS)

excelに、岡三オンライン証券が提供するツール「岡三RSS」を組み合わせることで
過去の株価データを用いた検証や、更には自動発注までできます。

優秀な売買ルールを見つけるためには、自分で検証する必要があるため
システムトレードに関する知識が必要になります。

多少の敷居がありますが、excelの基本的な知識があれば始めることができます。
>> excelでシストレ入門

トライオートETF

excelが難しいという方でもかんたんにできるのがこちら。
ETF(上場投資信託)を自動売買する「トライオートETF」です。

自動売買にありがちな難しい設定が少ないのが特徴。

「日経平均よりも高パフォーマンスの米国市場を、下がったら買い増ししていく」
非常にシンプルな自動売買ルールだからこそ、優秀なパフォーマンスです。

こちらに、トライオートETFの詳しい紹介や、実践記を掲載しています。
>> トライオートETF 実践記はこちら。


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